県庁所在地である熊本市の東側に位置する上益城郡益城町は、熊本地震で2度の震度7の揺れを経験し、復旧・復興活動に精力的に取り組んでいる町です。

震災をきっかけに、益城町役場では令和元年に部署を横断する形で企業誘致推進ワーキンググループを設置。現在、攻めの企業誘致計画として、町役場・商工会・農業委員会などが連携した本格的な事業に取り組んでいます。

益城町役場の産業振興課で商工観光係に務める原田将吾さんは、熊本地震に見舞われた平成28年に入庁して、町の復旧・復興活動に大いに貢献してきた一人です。

そんな原田さんが、震災の被害から立ち上がり、大きく変わった益城町での企業誘致の取り組みについて語ります。

【関連エピソード】

▶益城町企業誘致|震災復興に向けた攻めの企業誘致計画の誕生秘話【Vol.1】
▶益城町企業誘致|住みたい町から働きたい町を目指して未来へ繋ぐ想い【Vol.3】

原田将吾さんの経歴

 

  • 平成28年:益城町役場へ入庁。同年4月に熊本地震を経験し、環境衛生課で公費解体担当として勤務
  • 平成29年〜令和元年:益城町役場税務課、徴税担当として勤務
  • 令和元年〜3年:益城町役場福祉課、障害福祉サービス担当として勤務
  • 令和3年:益城町の企業誘致推進担当として、産業振興課商工観光係に配属
  • 現在:企業誘致推進のための産業団地整備事業や町内外企業との折衝、町内商工事業者の活性化を推進する業務に従事

町のにぎわいづくり向けた復興事業が進行中

ー熊本地震からの復興事業に励んでいる益城町

熊本地震以降、益城町全体で復興事業に取り組んでいます。そのなかで環境は大きく変化してきました。

具体的な取り組みとしては、木山地区の復興事業や、益城町中心部を通る県道熊本高森線(熊高線)の4車線化を目指す工事、熊本都市計画道路の整備などです。

平成28年熊本地震からの 復旧・復興に向けた取組み

他にも、新住宅エリアに400戸を超える戸建てを建てる民間主体の動きなどがあります。

ー中心市街地の町づくりを先導する『未来創成ましき』

復興事業の大きな取り組みである益城町中心市街地の町づくり事業を推進するため、町づくり会社『株式会社未来創成ましき』を設立しました。

未来創成ましきは、益城町の民間の活力を上手く活用した復興事業を主導する会社です。その取り組みの一つとして、益城町の惣領地区に2階建てのコンテナ複合施設『BOX SQUAREマシキラリ』が整備されました。

BOX SQUAREマシキラリ

『BOX SQUAREマシキラリ』は、熊高線4車線化などの復興事業に伴い、移転を余儀なくされた益城町の事業者様、もしくは町外から来られて新たに事業を開始される事業者様が店舗を構える際に利用できる施設です。

現在は、イートイン・テイクアウト飲食店、和菓子屋、カフェ、居酒屋・バー、生活サービス店、物販店などの店舗が入所しています。

『BOX SQUAREマシキラリ』は、熊本地震からの復興のシンボルの一つであり、益城町で新たな経済が生まれている場所になっています。

ー町民の心の拠り所だった建物の木材を再利用した施設がオープン

令和3年12月にコワーキングスペース『Connet(コネット)』、シェアオフィス『Tennoc(テノック)』、令和4年7月にチャレンジショップ『キニナル』がオープンしました。

▶ チャレンジショップ『キニナル』

熊本地震で住まいをなくされた住民の方々のために、益城町では各所に仮設住宅が建てられました。

仮設住宅の中心には『みんなの家』と呼ばれる公民館的な役割の建物があり、当時被災された町民にとって、心の拠り所となっていました。これら3つの施設は、そんな『みんなの家』の木材を再利用して造られており、木の温もりとやさしさはもちろん、復興を願う人々の想いが詰まった施設になっています。

コワーキングスペースとシェアオフィスで昼間人口の増加を目指したい

ー令和3年12月、学生と事業主の昼間の活動拠点が新たに誕生

実は益城町には高校がないんです。一番近いところで熊本市の東側にある高校ですから、昼間に益城町で活動する若者が少ないというのが現状です。

そのような背景があり、益城町では学生さんが昼間に活動できる新たなスペースづくりを目指してきました。そして、令和3年12月に中高生をメインターゲットとしたコワーキングスペース『Connet』がオープンしました。

コワーキングスペース『Connet(コネット)』

また、同時期にコワーキングスペースに隣接する形でシェアオフィス『Tennoc(テノック)』が設置され、確かな技術をもって社会的な変化に挑戦する企業様がご入所されています。

シェアオフィス『Tennoc(テノック)』

私たちとしては、Connet × Tennocで連携しながら、企業様と学生さんが何かアイデアを持ち寄ったり共創したりできるような場所になってほしいと期待しています。

現在の益城町には、過去にはなかった活気あふれる商業施設や新たなビジネスチャンスを生み出す施設があり、大きな目標である『町のにぎわい創出』に向けて着実に前進できていると感じています。

益城町には大幅に改善された攻めの企業誘致計画がある

ー過去と比べてかなり充実してきた企業誘致推進体制

益城町の過去を振り返ると、現在ほど企業誘致に積極的に取り組む体制は整っていませんでした。

現在、益城町では『攻めの企業誘致計画』を策定しており、そのプロモーションとしてランディングページを公開しています。

益城町企業誘致ランディングページ

益城町の概要をはじめ、優遇補助制度やインセンティブ制度、進出された企業様の生の声、さらにはシェアオフィス・コワーキングなどの情報も発信しており、本町の魅力がわかるランディングページになっています。

益城町の企業誘致に関する優遇措置は以前からありましたが、令和3年以降、既存の制度の大幅な見直しと増強を行い、新たなインセンティブ制度を設けました。

実際に本制度をご覧になった企業様からは、「魅力的な制度ですよね!」というお声をいただくこともあります。

ーワンストップ窓口制度でスムーズな企業立地を支援

益城町の産業振興課商工観光係では、誘致企業様に向けたワンストップ窓口制度も設けています。例えば、企業誘致に関するお問い合わせがあった際、私たち企業誘致担当部署がご相談をお受けする形になります。

そして、農業・農地関係であれば農業委員会、都市開発であれば都市計画課というように、より専門的な窓口へとスムーズにお繋ぎできる体制になっています。

企業誘致推進の鍵となる益城町独自の産業団地の整備

ー市街化調整区域が多い益城町で懸念される用地の取得

益城町では、『益城町企業誘致戦略 2020〜2024』に基づいた様々な取り組みを進めているところです。

益城町企業誘致戦略2020~2024(PDF:1.55MB)

そのなかの大きなプロジェクトとして、町独自での産業団地の整備を進めています。

「益城町なら土地が空いていそう」と思われている方は多いですが、実際のところはそうでもありません。益城町では、比較的規制が強い市街化調整区域が多く存在しており、その区域では空いている土地を気軽に活用できない問題があります。

これまでの企業様の町内立地としては、県や民間が整備している工業団地・産業団地に立地されるケースが多くございました。しかし、その工業団地・産業団地における用地が不足してきたため、「益城町独自で産業団地を整備する」という大きなプロジェクトが始動したのです。

ー益城町初の町営産業団地整備を目指して

益城町独自の産業団地整備に向けたプロジェクトの構想は、令和元年〜2年度に立てられました。適地調査を経て令和3年度に候補地を絞り込み、その後、令和4年度以降、設計業務に着手しています。

平成28年熊本地震からの 復旧・復興に向けた取組み

現在は、実際に産業団地を整備する造成工事の一歩手前のところまできています。造成工事にあたって、用地を取得する必要がありますので、民間の所有者の方からお譲りいただけるよう動いており、併せて各種法手続きなども進めているところです。

ー地権者や耕作者の協力なしでは実現できない産業団地の整備

産業団地整備のなかで一番中心になって取り組んでいるのは、用地の取得に関する業務です。民間で所有している農地ですから当然地権者や耕作者がおり、整備事業を進めるにあたってその方々のご協力が不可欠です。

これまで行政に土地を売却した経験がある方はかなり少なく、代々受け継いでこられた土地を売ることに不安をもたれている方も多くおられました。

私たちは、そのような方々のお気持ちを汲み取りながら丁寧に事業の説明を行い、ご協力が得られるよう努力しています。

多種多様な企業が進出している益城町の現状

ー令和元年以降、立地協定を締結した企業数は増加傾向にある

熊本県では、企業様が進出する市町村をお決めになられた際、事業開始にあたり、企業様と進出先の市町村の間で立地協定を締結しています。

令和元年以降、益城町では立地協定を締結した件数は増加傾向にあります。この数年の傾向をみると、食品関連や半導体関連を含む製造業・物流業、卸売業、オフィス系のIT事業など、多岐にわたる業種の企業様が益城町へと進出されています。

ー業種を問わず企業様を迎え入れる体制が整ってきている

企業誘致をする目的としては、税収の確保や雇用創出、定住人口の確保などが一般的に挙げられます。『益城町企業誘致戦略 2020~2024』においても、町内事業者の活性化や企業誘致を通じた雇用機会の拡大という大きな目標を掲げているところです。

益城町では、特定の業種に絞って企業誘致を推進しているわけではなく、幅広い業種の企業様を迎え入れる体制を整えています。例えば、阿蘇くまもと空港の近くにある産業団地『テクノリサーチパーク』には、先進的な事業に取り組んでいる企業様が多く立地されています。また、益城町にはインターチェンジが二箇所ありますので、物流関係の企業様にとって大きな利点となるでしょう。

企業様と益城町にとって少しでもプラスになる要素があれば、どのような業種であっても大歓迎です。

益城町は子育て環境も充実した、住むにはちょうど良い田舎

ー空港から好アクセスであり、生活にも不便さをあまり感じさせない

県庁所在地である熊本市東部に隣接する益城町は、都市部からも空港からも好アクセスというメリットがあります。町内に電車は通っていませんが、熊本市までの直通バスが出ていますし、そこまで不便さを感じることもありません。

生活必需品を買えるスーパーや飲食店などの施設が充実していながらも、町内にいたるところに自然があります。とても住みやすい町だと思いますね。上益城地区では『住むにはちょうど良い田舎』というキャッチフレーズを掲げており、益城町はまさにそのイメージにぴったりな町です。

ー益城町には充実した子育て支援と育児環境もある

益城町は子育て支援にかなり積極的な町として、定住者から高い評判をいただいております。例えば、益城町の医療費助成事業では、満18歳の高校生まで子ども医療費受給資格申請手続きをした場合、医療費が実質無料になります。子育て世代に寄り添った施策に力を入れていますので、定住するにも魅力的な町だと思います。

山間部の方にある潮井自然公園には、令和5年1月から多目的広場と児童用・幼児用の大型複合遊具が設置されましたし、親子で安心して遊べる環境・施設も以前より充実してきました。

益城町の補助金制度は県内屈指の充実度を誇る

ー2つの優遇制度で企業立地における初期投資を抑制できる

益城町では、『益城町企業立地奨励金』と『益城町産業支援サービス業等立地促進補助金』という2つの魅力的な優遇制度を設けています。

益城町企業立地奨励金は、製造業・卸売業・小売業など工場系の企業様を対象とした誘致の補助金制度です。主に用地の取得・設備投資・町内在住者の雇用という3つの優遇措置があり、最大4億円の補助金を町から受けられます。

益城町産業支援サービス業等立地促進補助金は、IT系・オフィス系の企業様を対象とした補助金制度です。こちらは、主に設備投資・賃料・雇用に対して最大1,100万円の補助が受けられます。

これら2つの補助制度は、熊本県内の市町村のなかでもかなり充実した内容です。

ー世界的な半導体メーカーの進出で注目を集める益城町

昨年、近隣自治体の方に世界的な半導体メーカー様が進出すると発表がありました。これは熊本県全体における半導体産業に追い風が吹いている状況だと考えています。製造業だけではなくて、物流業などの半導体関連企業の進出もこの数年で増えてきておりまして、益城町内でも複数の半導体関連企業の進出が決まっています。

今後も益城町で新たな企業様の進出が増えるとともに、ビジネス環境がより充実化することに期待しています。

ー原田将吾(益城町役場 産業振興課 商工観光係 )

【高待遇】益城町の優れた補助制度を紹介

益城町へ進出する際、立地の初期投資を大幅に抑えられる優遇制度をご利用できます。

①優遇補助制度

優遇補助制度では、土地取得・設備投資・賃料・雇用などに対して適用できる補助金をご用意しています。

熊本県が設けた補助制度もあり、益城町の補助金と併用可能です。また、正社員以外の従業員を雇用した場合でも適用される補助金もあります。

益城町立地促進における補助金要件の確認やお問い合わせ、補助金額のシミュレーションのご用意はこちらから

益城町起業創業事業費補助金

益城町で中小企業を創業する際、最大100万円(補助率1/2以内)の補助金が適用される制度も設けています。

益城町起業創業事業費補助金を活用されたい事業者様は、お気軽に益城町産業振興課商工観光係、もしくは益城町商工会までお問い合わせください。

TEL:096-289-8307(町)
TEL:096-286-2551(商工会)

借入金利子を一部補給する益城町中小企業融資金利子補給制度もご用意しています。

益城町利子補給金制度概要(PDF:492.8KB) 

進出・補助制度に関するその他のお問い合わせ

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